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BUILDING MANAGEMENT

管理ビルでエレベーター事故・漏水が起きたら

ビルやマンションでは、エレベーターの閉じ込めや、給排水管からの漏水といったトラブルが起こりえます。国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」では、マンションの管理組合の20.1%が「水漏れ」のトラブルがあったと回答しており、建物の不具合に関するトラブルの中で最も多くなっています。

エレベーターでは、大きな地震で多数の閉じ込めが一度に起きたこともあります。このページでは、こうした事故が起きたときに建物の所有者や管理会社に何が起きるのか、どのような責任を負うのか、そして日頃からできる対策を、法令と国の資料をもとに整理しました。

数字で見るビル・マンションのトラブル

マンションの水漏れ管理組合の20.1%が「水漏れ」のトラブルを回答。建物の不具合に関するトラブルで最も多く、次いで「雨漏り」10.7%(令和5年度)
地震による閉じ込め2018年の大阪府北部地震では、近畿2府3県で346台のエレベーターで閉じ込めが発生。救出に最大5時間半かかりました
閉じ込めが起きた建物住宅 202台(約58%)、事務所 73台(約21%)など

出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査」、国土交通省「大阪府北部を震源とする地震におけるエレベーターの被害」に関する資料

事故が起きたとき、所有者・管理会社に起きること

エレベーターの事故と漏水では、対応の流れと責任の考え方が異なります。

エレベーターで閉じ込め・事故が起きたとき

故障・停電・地震による停止など

  1. 閉じ込められた方との連絡と救出
    かごの中の方とインターホンなどで連絡を取り、保守点検業者に救出を依頼します。停電などの非常時にかごの中から外へ連絡できる装置は、建築基準法施行令で設置が求められています。
  2. 安全が確認されるまで使用を止める
    国土交通省の「昇降機の適切な維持管理に関する指針」は、異常があった場合、安全性が確認されるまで使用を再開しないことを求めています。
  3. 原因の確認と入居者への説明
    保守点検業者と原因を確認し、入居者やテナントに経緯と再発防止策を説明します。
  4. 損害賠償の請求
    閉じ込めや事故でけがをしたり、精神的な苦痛を受けたりした方から、損害賠償を求められることがあります。建物(土地の工作物)の設置や保存に欠陥(瑕疵)があって他人に損害を与えたときは、まず建物の占有者が、占有者が必要な注意をしていた場合は所有者が、損害を賠償する責任を負います(民法第717条)。

漏水で入居者やテナントに損害を与えたとき

給排水管の破損・詰まりなど

  1. 止水と被害の確認
    元栓を閉めるなどして水を止め、下の階や隣の部屋の被害を確認します。
  2. 原因箇所の特定
    水が漏れた配管が、特定の部屋の専有部分なのか、建物全体の共用部分なのかによって、責任を負う人が変わります。
  3. 責任の所在の確認
    マンションでは、建物の設置や保存の欠陥(瑕疵)による損害は、その瑕疵が共用部分にあるものと推定されます(区分所有法第9条)。最高裁判所は、階下の部屋の天井裏にある排水の枝管について、専有部分に属しない建物の付属物であり、共用部分にあたると判断しています(平成12年3月21日判決)。
  4. 損害賠償
    下の階の内装や家財、テナントの商品や設備が水に濡れると、修理費や買い替え費用に加えて、営業できなかった間の損失を求められることもあります。
  5. 管理会社の責任
    管理を任された会社は、善良な管理者の注意をもって業務を行う義務を負います(民法第644条)。点検や清掃を怠っていた場合は、管理を任せた側から責任を問われることがあります。

立場ごとの責任のまとめ

建物の所有者・占有者建物の設置・保存の瑕疵による損害の賠償(民法第717条)、建物を常に適法な状態に維持するよう努める義務(建築基準法第8条)
エレベーターの所有者資格者に定期に検査をさせ、結果を特定行政庁に報告する義務(建築基準法第12条第3項)
マンションの管理組合共用部分の保安・保全・保守・清掃など(マンション標準管理規約)。建物の瑕疵による損害は共用部分に原因があると推定(区分所有法第9条)
管理会社任された管理業務を、善良な管理者の注意をもって行う義務(民法第644条)

過去の重大事故から分かること

2006年6月3日、東京都内の公共賃貸住宅で、エレベーターのかごと乗降口の戸が開いたままかごが上昇し、降りようとした方が挟まれて亡くなる事故がありました。

消費者安全調査委員会の報告書(2016年8月30日)は、ブレーキの保持力が失われたことにより戸が開いたままかごが動き、事故が発生したと推定しています。あわせて、後継の保守管理業者に保守業務関連の資料が引き継がれていなかったことも指摘しています。保守業者が替わるときに、点検の記録や資料を確実に引き継ぐことの大切さが分かります。

日頃からできる対策

1

定期検査と報告

エレベーターの所有者は、資格者に定期に検査をさせ、結果を特定行政庁に報告します(建築基準法第12条第3項)。時期は、おおむね6か月から1年までの間隔で特定行政庁が定めます。

2

保守点検契約と記録の引き継ぎ

国土交通省の指針は、所有者が保守点検業者と契約し、使用頻度などに応じて定期的に保守・点検を行わせることを求めています。業者を替えるときは、点検記録などの資料を確実に引き継ぎます。

3

安全装置の確認

2009年9月28日から、新たに設置するエレベーターには、戸開走行保護装置や地震時管制運転装置などが義務づけられています。それより前のエレベーターは違反ではありませんが、設置の有無を確認し、改修を検討します。

4

給排水管の点検・清掃

共用部分の配管の清掃などの費用は、管理費から支出することができます(マンション標準管理規約のコメント)。排水管の更生や取替えを、長期修繕計画に組み込んでおきます。

5

入居者への周知

閉じ込められたときは、あわてずに非常用呼び出しボタンなどで連絡を取ること、水漏れに気づいたらすぐに管理者へ連絡することを、掲示やお知らせで伝えておきます。

対策を徹底しても、事故をゼロにはできません

定期検査や点検を欠かさず行っていても、地震による停止や、古い配管の突然の破損など、防ぎきれない原因もあります。入居者やテナントへの賠償に備える方法のひとつが保険です。

よくあるご質問

Q. エレベーターに閉じ込められたら、どうすればよいですか?

A. あわてずに、かごの中の非常用呼び出しボタンやインターホンで外部に連絡を取ります。停電などの非常時にかごの中から外に連絡できる装置は、建築基準法施行令で設置が求められています。所有者や管理会社は、この連絡方法をかごの中の掲示などで入居者に知らせておくことが大切です。

Q. マンションで上の階から水漏れがあった場合、誰が責任を負いますか?

A. 水が漏れた場所によって変わります。特定の部屋の専有部分が原因ならその部屋の区分所有者、建物全体の共用部分が原因なら区分所有者全員(管理組合)が対応するのが基本です。建物の設置や保存の欠陥(瑕疵)による損害は、共用部分に原因があると推定されます(区分所有法第9条)。

Q. エレベーターの定期検査は、毎年必要ですか?

A. エレベーターの所有者は、資格者に定期に検査をさせ、結果を特定行政庁に報告する義務があります(建築基準法第12条第3項)。検査の時期は、おおむね6か月から1年までの間隔で特定行政庁が定めます。お持ちの建物の所在地の特定行政庁の定めをご確認ください。

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