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WORKPLACE HARASSMENT

従業員からパワハラ・不当解雇で訴えられたら

職場のパワーハラスメントや解雇をめぐるトラブルは、会社の規模を問わず起こりえます。厚生労働省によると、令和7年度に全国の労働局などに寄せられた民事上の個別労働紛争の相談のうち、「いじめ・嫌がらせ」は55,614件で、14年連続で最も多い内容でした。「解雇」の相談も32,651件ありました。

2022年4月からは中小企業にもパワーハラスメントの防止措置が義務づけられ、2026年10月からはカスタマーハラスメントへの対策も事業主の義務になる予定です。このページでは、従業員からパワハラや不当解雇を訴えられたときに会社に何が起きるのか、どのような責任を負うのか、そして防止のために何をすべきかを、法令と国の資料をもとに整理しました。

数字で見る労働トラブル(令和7年度)

総合労働相談119万8,010件(18年連続で100万件超)
民事上の個別労働紛争の相談27万7,053件。内容別では「いじめ・嫌がらせ」55,614件が14年連続で最多、「解雇」は32,651件
あっせんの申請4,486件。内容別では「解雇」892件が最多、「いじめ・嫌がらせ」は868件

出典:厚生労働省「令和7年度個別労働紛争解決制度の施行状況」

訴えられたとき、会社に起きること

パワハラの訴えと解雇をめぐる争いでは、手続きの流れと問われる責任が異なります。

パワハラを訴えられたとき

上司の言動・職場のいじめなど

  1. 相談の受付と事実確認
    相談を受けたら、事実関係を迅速かつ正確に確認することが求められています(パワハラ防止指針)。相談者や行為者のプライバシーを守り、相談したことを理由に解雇などの不利益な扱いをしてはいけません(労働施策総合推進法)。
  2. 被害者への配慮と行為者への措置
    事実が確認できた場合は、被害を受けた従業員への配慮と行為者への措置を適正に行い、あわせて再発防止策を講じます。
  3. 労働局への相談・あっせん
    従業員は都道府県労働局などに相談でき、紛争解決のためのあっせんなどの手続きが行われることがあります。
  4. 損害賠償の請求
    ハラスメントで損害を受けたとして、行為者本人だけでなく、会社も使用者として損害賠償を求められることがあります(民法第715条)。会社には、労働者が安全に働けるよう配慮する義務(労働契約法第5条)もあります。

解雇が不当だと訴えられたとき

解雇の無効・地位確認などの主張

  1. 解雇の有効性が争われる
    解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利を濫用したものとして無効になります(労働契約法第16条)。
  2. 労働局のあっせん
    令和7年度に労働局に申請されたあっせんで、最も多かった内容は「解雇」(892件)でした。
  3. 労働審判
    裁判官1名と労働審判員2名が、原則として3回以内の期日で審理します。平成18年から令和6年までに終了した事件では、平均審理期間は82.6日で、65.5%が申立てから3か月以内に終わっています。
  4. 訴訟
    労働審判に2週間以内に異議が申し立てられると、労働審判は効力を失い、訴訟の手続きに移ります。

会社が負う責任のまとめ

防止措置の義務パワハラの防止措置(方針の明確化と周知、相談体制の整備、事後の迅速かつ適切な対応など)。2022年4月から中小企業も義務(労働施策総合推進法)
民事の責任使用者責任(民法第715条)、安全配慮義務(労働契約法第5条)にもとづく損害賠償
解雇の有効性客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性がなければ無効(労働契約法第16条)

トラブルを防ぐための対策

1

方針を決めて周知する

パワハラを行ってはならないという方針を明確にし、就業規則などに定めて、従業員に周知・啓発します(パワハラ防止指針)。

2

相談窓口をつくる

相談(苦情を含む)に適切に対応できる体制を整えます。外部の機関に相談への対応を委託することもできます。

3

相談を受けたら迅速に対応する

事実関係を迅速かつ正確に確認し、相談者や行為者のプライバシーを守ります。相談したことを理由に解雇などの不利益な扱いをしないことも、従業員に周知します。

4

指導とパワハラの線引きを共有する

業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指導は、パワハラにはあたりません。管理職研修などで、どこからがパワハラになるのかを共有しておきます。

5

解雇の前に理由と記録を確認する

解雇の理由を客観的に説明できるか、それまでの指導や注意の経緯を記録しているかを、弁護士や社会保険労務士などの専門家に相談しながら確認します。

6

カスタマーハラスメントへの備え

2026年10月1日から、顧客などからの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)への対策も事業主の義務になる予定です。相談体制や対応方針を今のうちに準備しておきます。

対策を徹底しても、事故をゼロにはできません

ハラスメントの防止措置を整えていても、受け止め方の違いや上司と部下の行き違いなど、トラブルを完全に防ぐことはできません。従業員や元従業員から損害賠償を求められたときの備えの方法のひとつが保険です。

よくあるご質問

Q. 厳しく指導しただけでも、パワハラになりますか?

A. 業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワハラには該当しません。一方で、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものは、パワハラにあたります(厚生労働省のパワハラ防止指針)。

Q. 労働審判とは、どのような手続きですか?

A. 裁判官1名と労働審判員2名が、原則として3回以内の期日で審理する裁判所の手続きです。平成18年から令和6年までに終了した事件では、平均審理期間は82.6日でした。労働審判に2週間以内に異議が申し立てられると、訴訟に移ります。

Q. 中小企業でも、パワハラ対策は義務ですか?

A. 義務です。2022年4月1日から、中小企業の事業主にもパワーハラスメントの防止措置が義務づけられています。さらに2026年10月1日からは、カスタマーハラスメントへの対策も事業主の義務になる予定です。

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