Q. 借りた重機を壊したら、全額を弁償しなければなりませんか?
A. 借主の責任で損傷させた場合は、返すときに原状に戻す義務を負います(民法第621条)。ただし、通常の使用による損耗や経年変化、借主の責任ではない事由による損傷は含まれません。実際に負担する範囲や金額はレンタル・リース契約の内容によって変わるため、契約書を確認してください。
HEAVY EQUIPMENT & CRANE
建設現場では、レンタルやリースの重機・移動式クレーンを使うことが一般的です。借りた機械を壊したり盗まれたりすると、貸主への賠償が問題になります。移動式クレーンが倒れれば、隣の建物を壊したり、店舗の入口をふさいで営業できなくしたりと、被害が現場の外にまで広がります。
厚生労働省の統計では、令和7年に労働災害で亡くなった方のうち、「建設機械等」が原因となったものは54人(うち建設業39人)、「移動式クレーン」は11人(うち建設業3人)でした。このページでは、重機やクレーンの事故が起きたときに会社に何が起きるのか、どのような責任を負うのか、そして事故を防ぐための対策を、法令と国の資料をもとに整理しました。
| 建設機械等による死亡 | 54人(うち建設業39人)。このうち掘削用機械は25人(建設業20人) |
|---|---|
| 動力クレーン等による死亡 | 28人(うち建設業8人)。このうち移動式クレーンは11人(建設業3人) |
| 移動式クレーンが倒れる主な原因 | 作業計画がない・不十分な中での過負荷、軟弱な地盤、アウトリガーの張り出し不足、過負荷防止装置の解除など |
出典:厚生労働省「令和7年 労働災害発生状況」(起因物別の死亡災害)、仙台労働基準監督署・福井労働局の資料
借りた機械そのものの損害と、現場の外に広がった被害とでは、対応の相手と責任の考え方が異なります。
レンタル・リースの建設機械、移動式クレーンなど
隣の建物の損壊・店舗の入口をふさぐなど
| 借りた機械 | 善良な管理者の注意による保管(民法第400条)、借主の責任による損傷は原状回復(民法第621条)。賠償の範囲は契約内容による |
|---|---|
| 第三者への被害 | 不法行為による賠償(民法第709条)、従業員の事故についての使用者責任(民法第715条) |
| 作業の安全 | 作業計画の作成、地盤の確認、過負荷の禁止など(クレーン等安全規則・労働安全衛生規則) |
移動式クレーンを使う作業では、転倒を防止するための方法などを、あらかじめ定めます(クレーン等安全規則第66条の2)。車両系建設機械の作業でも、地形や地質を調べて記録し、作業計画を定めます(労働安全衛生規則第154条・第155条)。
地盤が軟弱で転倒するおそれのある場所では、必要な広さと強度の鉄板などを敷かない限り、移動式クレーンを使えません(第70条の3)。アウトリガーは転倒するおそれのない位置に置き(第70条の4)、最大限に張り出します(第70条の5)。
定格荷重を超える荷重をかけてはならず(第69条)、定格荷重は運転者と玉掛けをする者が常に分かるように表示します(第70条の2)。過負荷防止装置を解除する鍵を誰が管理しているかも確認します。
強風のため作業に危険が予想されるときは、作業を中止します(第74条の3)。天気予報を作業計画の段階から確認しておきます。
国土交通省の建設工事公衆災害防止対策要綱では、建設機械が転倒しないよう地盤の水平度や支持耐力を調整する措置や、架空線などに近い場所での誘導員の配置などを定めています。
エンジンキーを確実に保管し、GPSなどの盗難防止装置も活用します。国土交通省関東地方整備局の盗難事例集では、盗難防止装置の付いていない古い機械が盗まれた事例も紹介されています。
作業計画や点検を徹底していても、地盤の急な沈下や夜間の盗難など、防ぎきれない原因もあります。借りた機械の損害や、周りの建物・店舗への賠償に備える方法のひとつが保険です。
Q. 借りた重機を壊したら、全額を弁償しなければなりませんか?
A. 借主の責任で損傷させた場合は、返すときに原状に戻す義務を負います(民法第621条)。ただし、通常の使用による損耗や経年変化、借主の責任ではない事由による損傷は含まれません。実際に負担する範囲や金額はレンタル・リース契約の内容によって変わるため、契約書を確認してください。
Q. 風がどのくらい強くなったら、クレーン作業を止めればよいですか?
A. クレーン等安全規則は、強風のため作業に危険が予想されるときは作業を中止するよう定めていますが、風速の数値は書かれていません。労働安全衛生規則の解釈を示した昭和46年の通達では、「強風」を「10分間の平均風速が毎秒10m以上の風」としています。あわせて、機械の取扱説明書やメーカーの基準も確認してください。
Q. 下請として作業中に事故を起こしたら、元請が責任を負ってくれますか?
A. 民法では、注文者は請負人が作業中に第三者に与えた損害について責任を負わないとされています(注文または指図に過失があった場合を除く。第716条)。実際に元請の責任が認められるかは、現場での指揮監督の実態などによって異なるため、事故を起こした会社自身が責任を問われることを前提に備えておく必要があります。
このページの内容は2026年9月時点の情報をもとに、株式会社保険企画が作成しています。
元請・下請の別、使用する重機やクレーンの種類と台数(自社保有かレンタル・リースか)、工事の種類、現在ご加入の保険が分かるとご案内がスムーズです。内容が固まっていない場合も、お気軽にご相談ください。