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HEAVY EQUIPMENT & CRANE

借りた重機を壊した・クレーンが倒れたら

建設現場では、レンタルやリースの重機・移動式クレーンを使うことが一般的です。借りた機械を壊したり盗まれたりすると、貸主への賠償が問題になります。移動式クレーンが倒れれば、隣の建物を壊したり、店舗の入口をふさいで営業できなくしたりと、被害が現場の外にまで広がります。

厚生労働省の統計では、令和7年に労働災害で亡くなった方のうち、「建設機械等」が原因となったものは54人(うち建設業39人)、「移動式クレーン」は11人(うち建設業3人)でした。このページでは、重機やクレーンの事故が起きたときに会社に何が起きるのか、どのような責任を負うのか、そして事故を防ぐための対策を、法令と国の資料をもとに整理しました。

数字で見る重機・クレーンの事故(令和7年)

建設機械等による死亡54人(うち建設業39人)。このうち掘削用機械は25人(建設業20人)
動力クレーン等による死亡28人(うち建設業8人)。このうち移動式クレーンは11人(建設業3人)
移動式クレーンが倒れる主な原因作業計画がない・不十分な中での過負荷、軟弱な地盤、アウトリガーの張り出し不足、過負荷防止装置の解除など

出典:厚生労働省「令和7年 労働災害発生状況」(起因物別の死亡災害)、仙台労働基準監督署・福井労働局の資料

事故が起きたとき、会社に起きること

借りた機械そのものの損害と、現場の外に広がった被害とでは、対応の相手と責任の考え方が異なります。

借りた重機を壊した・盗まれたとき

レンタル・リースの建設機械、移動式クレーンなど

  1. 貸主への連絡と状況の記録
    事故や盗難に気づいたら、すぐに貸主(レンタル会社・リース会社)に連絡し、写真などで状況を記録します。盗難の場合は警察に届け出ます。
  2. 保管と原状回復の義務
    借りた機械は、善良な管理者の注意をもって保管しなければなりません(民法第400条)。借主の責任で損傷させた場合は、返すときに原状に戻す義務を負います(民法第621条)。
  3. 使えなくなった場合
    機械がすべて滅失するなどして使えなくなると、賃貸借は終了します(民法第616条の2)。賠償の範囲や金額は、レンタル・リース契約の内容によって変わります。
  4. 工事の遅れ
    代わりの機械の手配が遅れると工程に影響し、発注者から工事の遅れについて責任を問われることもあります。

クレーンが倒れて周りに被害が出たとき

隣の建物の損壊・店舗の入口をふさぐなど

  1. 救護と通報・二次災害の防止
    けがをした方の救護を最優先し、救急と警察に通報します。電線などの架空線に接触した場合は、電力会社などにも連絡します。
  2. 労働基準監督署への報告と調査
    作業員が死傷した場合は、労働者死傷病報告を所轄の労働基準監督署長に提出します(労働安全衛生規則第97条)。重大な災害では、労働基準監督署が現場で災害調査を行います。
  3. 隣接する建物や通行人への賠償
    作業のミスで他人の建物を壊したり、けがをさせたりした場合は、損害を賠償する責任を負います(民法第709条)。従業員が仕事中に起こした事故は、会社も使用者として責任を負うことがあります(民法第715条)。
  4. 営業できなくなった店舗への対応
    倒れたクレーンが店舗の入口をふさいだ場合など、建物が壊れていなくても、営業できなかった損失について賠償を求められることがあります。どこまで認められるかは、事案によって異なります。
  5. 元請・発注者への報告
    下請として作業していた場合は、元請や発注者に速やかに報告し、今後の対応を相談します。

会社が負う責任のまとめ

借りた機械善良な管理者の注意による保管(民法第400条)、借主の責任による損傷は原状回復(民法第621条)。賠償の範囲は契約内容による
第三者への被害不法行為による賠償(民法第709条)、従業員の事故についての使用者責任(民法第715条)
作業の安全作業計画の作成、地盤の確認、過負荷の禁止など(クレーン等安全規則・労働安全衛生規則)

事故を防ぐための対策

1

作業計画をつくる

移動式クレーンを使う作業では、転倒を防止するための方法などを、あらかじめ定めます(クレーン等安全規則第66条の2)。車両系建設機械の作業でも、地形や地質を調べて記録し、作業計画を定めます(労働安全衛生規則第154条・第155条)。

2

地盤を確認し、鉄板を敷く

地盤が軟弱で転倒するおそれのある場所では、必要な広さと強度の鉄板などを敷かない限り、移動式クレーンを使えません(第70条の3)。アウトリガーは転倒するおそれのない位置に置き(第70条の4)、最大限に張り出します(第70条の5)。

3

過負荷をかけない

定格荷重を超える荷重をかけてはならず(第69条)、定格荷重は運転者と玉掛けをする者が常に分かるように表示します(第70条の2)。過負荷防止装置を解除する鍵を誰が管理しているかも確認します。

4

強風のときは作業を止める

強風のため作業に危険が予想されるときは、作業を中止します(第74条の3)。天気予報を作業計画の段階から確認しておきます。

5

周りの建物・架空線・通行人を守る

国土交通省の建設工事公衆災害防止対策要綱では、建設機械が転倒しないよう地盤の水平度や支持耐力を調整する措置や、架空線などに近い場所での誘導員の配置などを定めています。

6

盗難を防ぐ

エンジンキーを確実に保管し、GPSなどの盗難防止装置も活用します。国土交通省関東地方整備局の盗難事例集では、盗難防止装置の付いていない古い機械が盗まれた事例も紹介されています。

対策を徹底しても、事故をゼロにはできません

作業計画や点検を徹底していても、地盤の急な沈下や夜間の盗難など、防ぎきれない原因もあります。借りた機械の損害や、周りの建物・店舗への賠償に備える方法のひとつが保険です。

よくあるご質問

Q. 借りた重機を壊したら、全額を弁償しなければなりませんか?

A. 借主の責任で損傷させた場合は、返すときに原状に戻す義務を負います(民法第621条)。ただし、通常の使用による損耗や経年変化、借主の責任ではない事由による損傷は含まれません。実際に負担する範囲や金額はレンタル・リース契約の内容によって変わるため、契約書を確認してください。

Q. 風がどのくらい強くなったら、クレーン作業を止めればよいですか?

A. クレーン等安全規則は、強風のため作業に危険が予想されるときは作業を中止するよう定めていますが、風速の数値は書かれていません。労働安全衛生規則の解釈を示した昭和46年の通達では、「強風」を「10分間の平均風速が毎秒10m以上の風」としています。あわせて、機械の取扱説明書やメーカーの基準も確認してください。

Q. 下請として作業中に事故を起こしたら、元請が責任を負ってくれますか?

A. 民法では、注文者は請負人が作業中に第三者に与えた損害について責任を負わないとされています(注文または指図に過失があった場合を除く。第716条)。実際に元請の責任が認められるかは、現場での指揮監督の実態などによって異なるため、事故を起こした会社自身が責任を問われることを前提に備えておく必要があります。

参考資料

このページの内容は2026年9月時点の情報をもとに、株式会社保険企画が作成しています。

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