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FOOD POISONING

飲食店で食中毒が出たら

「毎日きちんと衛生管理をしているから、うちの店では起きない」。そう考えていても、食中毒はどの飲食店にも起こりうる事故です。厚生労働省の統計では、令和7年(2025年)に全国で報告された食中毒1,172件のうち、原因施設が飲食店だったものが56.1%と半数を超えています。

このページでは、食中毒が出たときにお店に何が起きるのか、どのような責任と損害を負うのか、そして今日からできる予防策と万一への備え方を、公的な資料をもとに整理しました。

数字で見る食中毒(令和7年)

件数1,172件(患者数 24,727人)
原因施設飲食店が事件数の56.1%、患者数の47.4%
多い原因ノロウイルス(事件数の39.4%)、アニサキス(23.9%)、カンピロバクター(18.8%)。この3つで事件数の約80%
時期ノロウイルスは2〜4月に多く、カンピロバクターとアニサキスは一年を通して発生
大規模な事例1回の提供で患者数が500人を超える事例が続いており、令和7年には弁当で2,307人の事例もありました

出典:厚生労働省「令和7年食中毒発生状況の概要」

食中毒が出たとき、お店に起きること

食中毒は、発生した日だけで終わる事故ではありません。一般的には、次のような流れで対応が続きます。

  1. お客さまからの連絡・受診
    「食事のあとに体調を崩した」という連絡が、お店や保健所に入るところから始まるのが一般的です。医師が食中毒と診断すると、保健所に届け出られます。
  2. 保健所の調査
    保健所がお店に立ち入り、提供したメニュー、調理の工程、食材の仕入れ、従業員の体調などを調べます。
  3. 営業停止などの行政処分
    提供した食事が原因と判断されると、食品衛生法第60条にもとづき、営業の停止や禁止を命じられることがあります。停止の期間は一律ではなく、原因の究明と除去、施設・設備の改善、従業員の教育などに必要な日数を考慮して決められます。
  4. 施設名などの公表
    営業停止などの処分は、食品衛生法第69条にもとづいて公表されます。たとえば東京都では、施設の名称、所在地、営業者の氏名、違反の内容などがウェブサイトに掲載されます。
  5. お客さまへの対応と損害賠償
    体調を崩したお客さまへのお詫びとあわせて、治療費や仕事を休んだことによる収入の減少、慰謝料などの損害賠償について話し合うことになります。

お店が負う責任と損害

お客さまへの損害賠償

治療費・収入の減少・慰謝料など

提供した料理が原因でお客さまが健康被害を受けると、お店は損害を賠償する責任を負います。患者が多いほど、賠償の総額も大きくなります。

  • 割烹料亭で提供したイシガキダイの料理による食中毒について、東京地方裁判所(平成14年12月13日判決)は、食材に手を加えて料理として提供した調理を製造物責任法(PL法)の「加工」にあたるとし、料亭側の責任を認めました。
  • この判決では、既存の文献を調べれば分かる危険について、「当時の知識では予見できなかった」という主張(開発危険の抗弁)も認められませんでした。
  • お店の注意が足りなかったかどうかだけでなく、提供した料理に「欠陥」があったかどうかが問われうる、という点を知っておく必要があります。

営業停止中の売上減少と固定費

休んでいる間も家賃や人件費はかかる

営業停止は、原因の究明や施設の改善、従業員の教育が終わるまで続きます。その間も、家賃、従業員の給与、リース料などの支払いは止まりません。処分が明けたあとも、客足がすぐに戻るとは限りません。

お店の信用の低下

公表・報道・インターネット上の情報

営業停止などの処分は自治体のウェブサイトで公表され、規模の大きな事例では報道されることもあります。インターネット上に情報が残り、処分が終わったあとも来店をためらわれる原因になりえます。

今日からできる予防策

1

HACCPに沿った衛生管理

2021年(令和3年)6月1日から、原則としてすべての食品等事業者に「HACCPに沿った衛生管理」が義務づけられています。衛生管理計画を作り、実施状況を記録し、定期的に見直すことが基本です。小規模なお店は、業界団体が作成した手引書を参考にできます。

2

ノロウイルス

従業員がすでに感染している可能性を前提に、丁寧な手洗い、使い捨て手袋の使用、体調不良の正確な自己申告を徹底します。

3

カンピロバクター

主な原因は、生や加熱が不十分な鶏肉と、調理中の二次汚染です。鶏肉は中心部まで十分に加熱し、生肉に触れた器具や手で他の食材を扱わないようにします。

4

アニサキス

−20℃で24時間以上の冷凍、または70℃以上(60℃なら1分)の加熱で死滅します。新鮮な魚を選んで内臓を早めに取り除き、目で見て幼虫を取り除きます。

5

ハンバーグなど挽肉の料理

加熱が不十分なハンバーグなどによる腸管出血性大腸菌の食中毒は3年続けて発生し、令和7年には患者数が100名を超え、重い症状の方も出た事例がありました。中心部まで確実に加熱します。

予防を徹底しても、事故をゼロにはできません

予防策を徹底していても、仕入れた食材や従業員の体調など、お店の努力だけでは防ぎきれない原因もあります。お客さまへの賠償や、営業停止中の損失に備える方法のひとつが保険です。

よくあるご質問

Q. 食中毒が疑われる連絡を受けたら、まず何をすればよいですか?

A. 体調を崩された方の受診を優先していただき、保健所の調査に協力します。提供したメニューと日時、食材の仕入れ先、従業員の体調などの記録が、原因を調べる手がかりになります。

Q. 営業停止は何日くらいになりますか?

A. 一律には決まっていません。原因の究明と除去、施設や設備の改善、従業員の教育などに必要な日数や、違反の重さを考慮して、保健所などが決めます。

Q. 営業停止になると、お店の名前も公表されますか?

A. 営業停止などの処分は、食品衛生法第69条にもとづいて公表されます。東京都の場合、施設の名称、所在地、営業者の氏名、違反の内容などが掲載されます。

参考資料

このページの内容は2026年9月時点の情報をもとに、株式会社保険企画が作成しています。

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